始めに


10年前(2004年)、双眼鏡を持って初めて雲出川河口に立ちました。
眼にとまったのは堤防に埋め込まれた看板、シギ・チドリ類渡りのルート図です。

シギ・チドリという鳥はスケールの大きな鳥なんだなぁー。
シベリアで繁殖し東南アジアやオーストラリアまで渡るんだ。

この干潟は渡り途中の休息場所、餌採り場所なのか。
それにしても繁殖場所がなんで永久凍土とも言われるシベリアなんだ。

温暖な地で繁殖すれば長旅で生命の危険まで冒す必要もないだろうに。
当時の私はまったくの野鳥素人でした。鳥のことは何も知らなかった。

家に帰っていろいろ調べてみると、多くのシギ・チドリ類が
北極ツンドラで繁殖するとある。

北極北部は永久凍土の地であっても。
北極南部では夏になると表層の氷が溶け湿地や湖ができる。

湿地や湖の出現により、多くの生き物たちが集まり。
おびただしい昆虫類(主にハエや蚊)が発生する。

その幼虫や成虫を目当てにガン、カモ、シギ・チドリ類など
数百万という渡り鳥が繁殖にやってくる。
北極ツンドラにはこの数百万の鳥たちの繁殖を支える餌があるということか。

北極ツンドラは一年中凍った極寒の地で樹木が生息しない。
だがここにも夏は来る。 夏の期間は 5月下旬から 7月中旬。

この短い夏の間に渡り鳥たちはつがいを形成し、卵を産み育雛しなければならない。
夏鳥を除いて津市近郊から5月下旬になるとシギ・チドリはすっかり消えてしまう。

ツンドラの凍土が溶ける 5月下旬に 繁殖地に到着しなければ
抱卵日数、育雛日数を考えると間に合わなくなると言える。
短い夏が終わり再び生息できない凍土とかしてしまうからだ。

繁殖を終えると元気な親鳥から越冬地に渡りを始めることになる。
2〜3週間遅れて幼鳥が越冬地に旅立つ。

当地に 7月の終わりから 8月にかけてまず成鳥が到着し、
8月中下旬から 9月初旬になると幼鳥が到着することからも分かる。

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