セイタカシギの繁殖(2011年)
松阪市における2例目の繁殖も失敗に終わる。


野鳥は多くの感動を与えてくれますが時には悲哀も味わいます。
2011年の松阪市曽原大池における初の繁殖は
豪雨による増水で巣は水没し卵は流されました。

2008年と営巣場所は違いますが今回も大雨による増水での失敗でした。
2011年5月11日の夕刻、水量が増してくる雨中で
抱卵する♀親の表情はなんと表現していいのか、
卵が水没するのを予測出来たのか、うつろな表情で卵を抱いていた。

近郊で繁殖する数種の水鳥、その成功例は思いのほか少ない。
なぜ、水難にあう確率高い場所に営巣するのだろう。

コチドリの水難、イカルチドリの水難、コアジサシの干潟における集団繁殖での水難。
鳥たちの繁殖に感動と悲哀はつきものなのか。

繁殖記録 
2011.05.02-2011.05.12 松阪市曽原大池 雌雄とも成鳥

3年前の松阪市漁師町での繁殖では♀親は1年目の若鳥でした。
四日市市における数年前の繁殖でもふた組のつがいの内、ひと組は♀親が若鳥だった。
セイタカシギは♀に限っては若鳥も繁殖に入ります。
観察例が少ないので♂親が若鳥の場合もあるのかどうかは不明。

2010年5月9日に♂の若鳥と♀の若鳥の交尾を見ているので
♀だけでなく成鳥の早い♂若鳥も繁殖可能となるのだろう。

□2011年5月7日 産卵を始める、卵は1個(画像1-5枚目)

□2011年5月8日 卵数2個。
 セイタカシギは日に1個づつ、4個の卵を産むのが普通で
 4卵産み終わってから雌雄交代で抱卵を始める。

 この日はまだ卵を2個しか産んでいない産卵途上だが交尾をした。
 繁殖期以外でも交尾をするセイタカシギ、
 産卵途上であってもつがいの絆を確認するというか深めるというか、とても興味深い。
 (画像11枚目〜15枚目))

□2011年5月9日 卵数3個。雌雄交代で抱卵を始める。
 巣を作った場所が大雨が降れば水中に沈んでしまうことを
 地元バーダーなら知っていますがセイタカシギには分からないのだろう。
 今は順調でもまずこの繁殖は確率高く失敗する。
 だがどうすることもできない。運があればに賭けるしかありません。

□2011年5月10日 抱卵継続、変化なし。

□2011年5月11日 天候が崩れ、今日から明日にかけ大雨予報。
 夕刻には水位が上がってきていた。今夜も降る、明日も降る。

 雨中、抱卵する♀親のなんともうつろな表情。
 ♂親も少し離れたところで呆けたような顔をしている。
 この時点で巣が水中に没するであろうことを悟ったものと思われます。

□2011年5月12日 増水により巣が水没する。
 巣のあった石積みは上の方だけ残り、巣は水没し見えなくなっていた。

 巣作りをしてから巣の近くに寄るキアシシギやツルシギ、オグロシギなど
 他の鳥を威嚇し追い払って縄張りを形成していましたが、
 水中に没した巣を放棄したのであろうつがいは巣から離れていた。

 巣のあった石積みの上にはキアシシギとハマシギが群れをなしていました。
 最後の画像のツルシギの居るところが巣のあった場所です。

セイタカシギは4卵産むのが普通ですが当つがいは3卵しか産まなかった。
3卵産んで雌雄交代で抱卵に入りました。

松阪市におけるセイタカシギ2度目の繁殖も失敗
地元におけるセイタカシギの繁殖は今回も報われなかった。


撮影: 2011.05.07-2011.05.12 松阪市
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2011.05.07 1個の卵が確認できる。
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2011.05.07
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2011.05.07
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2011.05.07
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2011.05.07


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2011.05.08 卵が2個見える。
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2011.05.08
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2011.05.08 卵を気にしながら警戒する親鳥
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2011.05.08 近寄るオグロシギを追い払う。
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2011.05.08
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2011.05.08 産卵途上の交尾行動
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2011.05.08 産卵途上の交尾行動
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2011.05.08 産卵途上の交尾行動
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2011.05.08 産卵途上の交尾行動
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2011.05.08 産卵途上の交尾行動


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2011.05.09 卵が3個見える。
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2011.05.09 雌雄交代の抱卵が始まる。卵を抱く♂親。
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2011.05.09 抱卵は雌雄交代で。。
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2011.05.09 卵を抱く♀親。


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2011.05.10
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2011.05.10
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2011.05.10


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2011.05.11 水量が増えだし、うつろな表情の♀↑、♂↓
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2011.05.11
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2011.05.12 ツルシギの居るところが水没した巣のあった場所。

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