コチドリ 雛成長の足跡 雛から幼鳥までの記録 

雛の受難 落胆と感動!

野鳥観察を初めて以来、 今日(2009.06.22)ほど感動!したことはなかった。

早朝の雨で増水した河川は濁流となり
コチドリ3ヵ所、イカルチドリ1ヶ所が営巣している河川中流域の中州を洗い流した。

3ヶ所のうち
1ヶ所目は流れが強いので雛4羽、濁流に飲み込まれたものと思われる。
生まれて3日、飛べない雛が濁流の中を岸まで泳ぎ着かなければならない。
雛にそれだけの力があるとは考えられない。

夕刻、水かさが減り洲の一部が現われた。
親鳥が雛を探しているのか巣の近くででウロウロしている。

2ヶ所目の巣のあるところは岸と続いているので
親子の姿はなかったが堤防の内側に避難できた可能性が大きい。
雛は4羽だったが孵化してから1週間ほどたっていた。

だがそれ以降もこの2カ所目の雛の姿も探し出すことができない。
鉄砲水に逃げるいとまがなかったのかもしれない。

3ヵ所目の抱卵中のイカルチドリと孵化して間もないコチドリ雛がいた中州、
流れ着いた草などが散乱。ここも水没してしまった。

イカルチドリが巣のあった周囲3-4mをうろうろしていると思えば
呆けたように立ち止まる、そんな行動を繰り返している。
3個の卵は流されてしまったのだろう。見るのもつらい。

雛の命が天災によって奪われた。コチドリ雛の水難、
間違いなく3ヶ所目のコチドリ雛も濁流にのみ込まれただろう、かわいそうに。
そう思いながらも助かっていてほしい気持から双眼鏡で雛の姿を探してました。

なんと対岸の堤防上に雛がいるではないか、眼をこすりました。
間違いなく3羽の雛と近くに親鳥。

落胆と失望のあとの感動!!中州から何として岸にたどりついたのか。
生まれて3日しかたっていない雛が5m程とはいえ濁流を横切って泳げるのか。
成鳥でもいままで泳いでいる姿を見たことがない。

生後3日目のコチドリの雛が濁流を泳ぎ渡り、
5mほどもあるコンクリートの斜面を登り堤防上に出ていた。

その生命力に感動!命の尊厳さに感動!

2009年6月22日。
落胆と感動をコチドリ雛に貰った記憶に残る日になりました。

翌23日、水量が減り顔を出した中州に3羽の雛の姿が。
親の誘導で泳いで中州に戻ったのだろう。
堤防上にいては獣に襲われる危険が付きまとう。

24日再び大雨が、このとき以来 1羽の雛の姿が消えました。
体力の消耗が激しく力尽きたのだろう。

2009年7月20日。受難を乗り越えた2羽の雛は成長し、立派な幼鳥になりました。

画像はいずれも証拠程度しか撮れてないが、とても満足。
1枚目:流されたであろう雛を探し続けるコチドリ親。
2枚目:流された抱卵中の巣のそばで呆然と立ちつくすイカルチドリ。
3枚目:中州から岸に泳ぎ渡り対岸の堤防上にいたコチドリ雛。遠距離コチドリ見えるかなぁー。
4枚目〜21枚目まで助かった2羽。雛から幼鳥までの記録。

 1
     撮影日:2009.06.22
     水量が減った中洲で、濁流に流された雛を探すコチドリ親。(1ヶ所目の営巣場所)

 2
     撮影日:2009.06.22
     濁流に流された3個の卵、巣のそばで呆然と立ちつくすイカルチドリ。
     この中州の上を濁流が押しよせました(3か所目の営巣場所)
     この中州ではコチドリ3羽とイカルチドリが抱卵していた。

 3
    撮影日:2009.06.22
    中州から流れを泳ぎわたり5m以上もある斜面を登り、土手の上に避難したコチドリ雛。
    孵化後3日目の生まれて間もない雛が泳いで対岸に渡った。驚き!
    この日の大雨で観察中のコチドリ雛8羽が命をなくし卵1個が流された。
    助かったのは3羽。1日おいた24日の雨で3羽のうちの1羽も脱落した。
    同場所で抱卵していたイカルチドリ3個の卵も濁流に飲み込まれている。

    なぜこんな厳しい環境のところで営巣するのだろう。
    雨の多い梅雨時、毎年同じことが繰り返されているのだろうか?
水難を乗り越えた2羽のコチドリ雛 幼綿羽(雛)→幼羽(幼鳥)までの記録画像↓
 4
撮影日:2009.06.19

6月19日 卵4個のうち3羽の雛が孵った。1日前の18日夕刻には4個の卵があったので
18日の夜以降、6月19日昼までに3羽の雛が孵化した。

 5
撮影日:2009.06.19

雛は生まれてまもなく歩き始める。餌も独力で採る。
当地で繁殖しているシロチドリやイカルチドリ、ケリも同じです。
 6
撮影日:2009.06.19

4個の卵は同じ日に孵化しなかった。残った1個の卵を抱卵する親鳥。
抱卵も育雛も雌雄で行う。

 7
撮影日:2009.06.20 孵化後1日経過した雛。
 8
撮影日:2009.06.20

 9
撮影日:2009.06.20

6月20日、残った1個の卵は孵らず、必死の抱卵を続けている。
21日も孵化しなかった。
22日の濁流のあとは卵もなく、雛も孵った気配がない。
卵は孵らずに濁流に流されたようだ。
 10
撮影日:2009.06.27

ふわふわの幼綿羽に覆われたコチドリ雛、孵化後8日目の姿です。
 11
撮影日:2009.06.27

 12
撮影日:2009.07.05

孵化後16日目の姿です。
上面の各羽に幼羽が出てきたのを外見からも見てとれます。
 13
撮影日:2009.07.05

 14
撮影日:2009.07.11

 15
撮影日:2009.07.11

 16
撮影日:2009.07.15

孵化後26日目、幼綿羽から幼羽への換羽が進んで来た。
この日初めて10mほど飛んだ。
 17
撮影日:2009.07.15

 18
撮影日:2009.07.20

孵化後31日目。立派な幼羽になる。
(18枚目から21枚目)
 19
撮影日:2009.07.20

 20
撮影日:2009.07.20

綺麗な翼になりました。
 21
撮影日:2009.07.20
 22
撮影日:2009.07.20

三重の野鳥 光昌のホーム