エリマキシギ 雌雄を考える 識別の難しさ
冬羽から夏羽に換羽中の♂成鳥か♀成鳥か
エリマキシギは襟巻を巻いた派手な♂夏羽と地味な♀とのイメージが強くて
雌雄の識別も年代の識別も容易であろうと思っていた。
だがこの種も他のシギと同様に夏羽以外は雌雄の識別は容易ではない。
2010年3月23日に飛来し4月2日旅立つまで10日間滞在し
成・幼の判断、雌雄の判断、夏羽・冬羽の判断といろいろ考えさせられた個体。
上面の羽模様・下面の黒斑から幼鳥でなく成鳥と判断。
肩羽・雨覆・三列風切にフレッシュな夏羽が見られる。
画像23枚目から25枚目のツルシギと並んだ写真。
写真の角度によってツルシギより大きく感じたり小さく感じたりはあるが
ほぼ同大あるいは大きく見える。
過去、エリマキ♀から受ける印象はツルシギより明らかに小さいとのイメージがある。
当年(2010年)9月にも5羽のエリマキが飛来し2羽は小さく♀、3羽は大きく♂と
迷いなく思える差があった。
雌雄を体の大小だけで比較して
ツルシギと同大とあれば♂でいいのではないかと結論づけたいのですが、
迷いは胸の斑が横斑に見えることにある。
図鑑やネット上で見られる♂に横斑はなく♀にある。
肩羽・雨覆・三列の黒褐色の斑紋の部分に淡色の斑が多く入る当個体。
この鮮やかな淡色の斑は♂に現れるのではないだろうか。
♀にも淡色の斑は見られるが少なく当個体ほど目立たない?
胸の横斑は♂にはなく♀だけに現れる特徴との思い込みもあり。
体の大きな♀という可能性もあるかと雌雄の識別に行き詰ってしまった。
♂だとすると夏羽へ換羽中の成鳥となる。
成鳥夏羽の襟巻は夏羽への換羽の最後の段階で急速に現れる。
立派な襟巻は繁殖羽への換羽の最後の仕上げ。繁殖が終われば襟巻は早々と抜けるよう。
見せていただいた8月初めの動物園のエリマキ♂成鳥の写真では
襟巻は残らずさっぱりした頸だった。
胸の斑は横斑らしく見えるだけで換羽が進んで新羽が伸びてくれば
立派な襟巻になるのだろうと推測し
夏羽に換羽中の♂成鳥の可能性が強いと結論するつもりでした。
鳥友に動物園の写真を見せていただくと。
飼育されているエリマキ♀成鳥の淡色斑の模様から数まであまりにも似ている。
さてどちらか迷うなぁー。
ーーーツルシギより体の大きい夏羽に換羽中の♀成鳥ーーー
ーーー♀の羽模様に酷似した夏羽に換羽中の♂成鳥ーーー
追記 2011.05.19 再考の結果、
前頸が白く、ツルシギと大きさが変わらないなどから。
当個体を冬羽から夏羽に換羽中の♂と判断する。
胸の斑は一見横斑のように見えるが換羽中の♂にもこのような模様の個体もある。
撮影:2010.03.23-2010.04.02 松阪市
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左:エリマキ、 右:ツルシギ |
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左:ツルシギ、右エリマキ |
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左:ツルシギ、右エリマキ |
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エリマキシギは尾羽の基部両脇に白斑が出る。 |
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初列外側に摩耗が見える。成鳥羽の換羽中と読める。 |