松阪市の留鳥ダイシャクシギ。

ダイシャクシギは春は3月中旬から6月下旬に、秋は8月中旬から9月下旬に
雲出川河口周辺に毎年渡来しますが10羽を超えたことはありません。

♀は♂より一回り大きく長い嘴は下に大きく湾曲します。
足も長く嘴は頭長の3倍にも及ぶ大型シギです。

顔から胸に黒褐色の縦斑があり、翼下面、脇羽、腰、腹と下尾筒は白い。
飛翔時は翼下面の白さが目立ち上面はホウロクシギより白っぽく見えます。

広大な干潟を好みゆっくり歩きながら蟹の穴を見つけると長い嘴を差し入れて捕えます。
大きな蟹はまず足をもぎとり胴だけ食べその後もぎとった足を拾って食べることもあります。

三重県松阪市で2007.11.18から2009.0406まで1羽の幼鳥が
1年6ヶ月もの長期滞在をしました。

渡来してきた当初は幼羽が残る第1回冬羽初期でした。
その後、第1回夏羽、第2回冬羽、第2回夏羽まで羽衣の変化を見せてくれました。

2年目の春に繁殖地に旅立つまで留鳥化したダイシャクシギを撮り続けました。
幼羽が見えるときから第2回夏羽まで貴重な資料を得ることができました。

幼羽と成鳥羽の識別が難しく、冬羽と夏羽の識別も難しかったダイシャクシギ。
1年6ヶ月撮りためた写真を比較検討することで分かることも多いと思います。

追記 その後のダイシャクシギ。
2009年9月1日、約5カ月ぶりに繁殖地から戻ってきました。
そのまま当地で冬を過ご、し2010年3月17日に繁殖地に旅立ちました。
そして2010年9月28日、再び当地に戻ってきました。

2007.11.18-2009.04.06
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2007.11.18
長期滞在したダイシャクシギ。渡来時は第1回冬羽に換羽中でした。
背・肩羽は冬羽に換羽が進み雨覆・三列風切に幼羽が残る。
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第1回冬羽に換羽中 2007.11.18

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第1回夏羽に換羽中 2008.03.27
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2008.03.27
↑肩羽は夏羽に換羽が始まっています 
雨覆、三列風切に冬羽と摩耗した幼羽残っている。第1回夏羽に換羽中

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第1回夏羽 2008.04.19
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2008.04.19
↑第1回冬羽・第1回夏羽は雨覆や三列風切に幼羽が残る。

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第1回夏羽 2008.05.25
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第1回夏羽 2008.05.25

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第1回夏羽 2008.05.31
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2008.05.31
↑第1回夏羽 雨覆の一部に幼羽が残るが多くが夏羽に換羽しています。 

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第1回夏羽 2008.07.03
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2008.07.03
↑夏羽は冬羽より頭部から胸にかけての縦斑が濃くなり
背・肩羽など上面の褐色味も強くなる

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第2回冬羽に換羽中  2008.08.04
8月下旬にもなると各羽の擦れが目立ってくる。肩羽に冬羽が出始めている。
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↑ 第2回冬羽に換羽中 2008.08.24

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 第2回冬羽に換羽中 2008.09.02
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↑第2回冬羽に換羽中 2008.09.02

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第2回冬羽に換羽中 2008.09.27
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2008.09.27
↑頭部から胸にかけての縦斑も夏羽に比べ薄くなってきました。
摩耗した羽がまだ残っている第2回冬羽に換羽中

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第2回冬羽に換羽中 2008.10.28
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↑一部摩耗した羽が残りまだ冬羽完成とは言えません。  2008.10.27

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第2回冬羽の完成度が上がってきた。 2008.11.08
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↑第2回冬羽の完成度が上がってきた。 2008.11.08

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第2回冬羽 2008.11.18
体全体が淡くなった。顔から胸の縦斑も夏羽のような濃さがなくなりました。
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↑第2回冬羽 2008.11.18

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第2回冬羽 2008.12.09
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↑第2回冬羽 2008.12.09

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第2回冬羽 2009.01.02
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2009.01.02
↑全ての羽が冬羽に換羽完了して地味だがとても綺麗な羽衣になりました。
ダイシャクシギのような大型シギは特別な換羽をするのではと思っていましたが
他の多くのシギと同じように第2回冬羽で全換羽します。
 
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第2回冬羽 2009.02.21
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↑第2回冬羽 2009.02.21

 
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第2回夏羽に換羽中 2009.03.08
頭部から胸にかけての縦斑が冬羽より濃さを増してきました
上面の黒褐色味が強くなり、羽縁とのコントラストが強くなりました。
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↑第2回夏羽に換羽中  2009.03.08

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第2回夏羽 2009.03.25
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第2回夏羽 2009.03.25
個体差はあるが大型シギは小型シギより夏羽への換羽が早いと思われます。
3月に入ると遠目にも体色の変化が分かるようになりました。

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2007年11月8日より2009年4月6日まで1年と6ヶ月半滞在した当ダイシャクシギは
幼羽から第2回夏羽完成まで見せて繁殖地に旅だちました。
        

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