メリケンキアシシギ 成鳥夏羽(5月)

キアシシギの春の旅立ちは5月末から6月初旬と遅いですが
メリケンキアシシギの旅立ちもキアシシギと同様に遅いです。

春になるとフェリーに乗り渥美半島へ。メリケン詣でを2007年から続けています。
過去4年間の訪問ではメリケンキアシシギとキアシシギが混在していましたが
今回はメリケンキアシシギばかりでキアシシギはいなかった。

4羽の内、上面も下面も暗色味が強く見え遠目にもメリケンキアシシギと判る1個体、
スコープでの確認でメリケンと判断できたのが3個体。

画像1枚目:
メリケンキアシシギはキアシシギより大きいのが普通ですが
当個体はメリケンキアシシギにしては体が小さかった。
図鑑の体長はメリケンキアシシギは26-29cm、キアシシギは23-27cmです

2枚目の個体は上面の羽色が暗色に見えずメリケンキアシシギにしては淡かった。
キアシシギと同程度の羽色。だが他の特徴からメリケンキアシシギと判断できます。

メリケンキアシシギとキアシシギの識別は鳴き声の違いが最も分かり良い。
3枚目の2羽はよく通る声で鳴いてくれたくれました「ピリリリリリー」

メリケンキアシシギのイメージが強く残る間に見た目でキアシシギとどれほど違うのか、
翌日、地元でキアシシギを観察しました。

パット見、最も違いが分かるのは嘴基部の色でした。
キアシシギは嘴基部が黄色、黄橙色でメリケンキアシシギと違います。
メリケンキアシシギの嘴は基部まで黒いか或いは基部に鈍い暗赤褐色味を感じる程度です。

キアシシギにも嘴基部まで黒味がちな個体もいるし
メリケンキアシシギも下嘴の基部が黄橙色を帯びたものがいます。
嘴の色は絶対的な識別点になりませんが両種を見分ける大まかな目安としては使えます。

嘴の溝の長さは距離や光線によって判別できないし、
初列風切の長さもキアシシギとの違いが野外では分かりづらい場合が多いです。

下面の横斑の黒味が強く下尾筒や腹の中央部まであるか
嘴の黒味、体全体の暗色味の強さなどこの類似の2種にはいくつかの識別点があります。

難は、地元で見られないので観察する機会が少なく、
どれほどの個体差があるのか分からない部分が多いことです。

胸の横斑の黒色が強く太く粗く見える個体は一見してメリケンキアシシギと分かりますが
キアシシギと紛らわしいのもいます。

キアシシギとメリケンキアシシギの識別は
メリケンキアシシギの特徴をどれだけ多く持っているかを見ていくことになります。

嘴の鼻孔の上から続く溝の長さの違い、これが最も有効な識別点かと思いますが、
メリケンキアシシギの溝を鮮明に写すにはよほど条件に恵まれないと難しい。

胸の黒褐色の横斑は普通は黒いですが個体によって太さも濃淡差があります。、
横斑の色が薄く見えるからと言ってメリケンキアシシギを否定は出来ません。

撮影:2011.05.24 渥美半島
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成鳥夏羽 2011.05.24
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↑メリケンキアシシギ
上面は暗褐色。下面の横斑は黒くて粗く腹部の中央部まで達し下尾筒にも見られる。
嘴は基部まで黒味が強い。鼻孔から続く溝は嘴の2/3の長さががある。
全体の雰囲気がキアシシギに比べ暗色でいかつく見える。
足がやや太く長いせいもありキアシシギに比べ体が大きく見える。
初列風切が尾羽より突出する。キアシシギは同程度かわずかに突出する程度。
メリケンキアシシギの上尾筒に模様はない。キアシシギの上尾筒には白色の羽縁と
褐色の模様がある。
メリケンキアシシギのふ蹠後面は網目状の鱗模様。キアシシギは梯子状の鱗模様。 



キアシシギ 2011.05.25
  キアシシギの上面はメリケンキアシシギより淡い褐色。
体全体の羽色はメリケンキアシシギより明るい。
下面の横斑は。腹の中央部まで届かず、下尾筒には見られない。
嘴基部は黄色・または黄橙色。鼻孔から続く溝は嘴の半分以下。
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キアシシギ 成鳥夏羽 2011.05.25

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